AIセーフティに関する評価観点ガイドとは

AIセーフティに関する評価観点ガイドとは、日本のAIセーフティ・インスティテュート(AISI)が公開した、AIの安全性を確かめるときに「何を評価すべきか」という視点をまとめた手引きのことです。初版は2024年9月に出され、2025年3月に第1.10版へ改訂されました。AIを開発・提供する企業が、自社のAIを世に出す前に押さえておくべき点検の“地図”として使えます。

英語表記:Guide to Evaluation Perspectives on AI Safety

「評価観点」とは、点検する視点のこと

ここでいう評価観点とは、AIの安全性を見るときに、どんな角度から点検すればよいかを示したチェックの視点です。具体的には、人間中心であること、安全性、公平性、プライバシー保護、セキュリティ確保、透明性といった要素が挙げられています。たとえば「特定の人を不当に差別していないか(公平性)」「個人情報を漏らさないか(プライバシー保護)」というように、見落としがちな観点を一つずつ確かめられるのが利点でしょう。技術の細かい話に入る前に、そもそも何を心配すべきかを地図のように見渡せる点が、このガイドのねらいです。

レッドチーミングのガイドと、二人三脚

AISIは、このガイドと対になる「レッドチーミング手法ガイド」も公開しています。評価観点ガイドが「何を見るか」を決める地図だとすれば、レッドチーミングのガイドは「どう弱点を探すか」を示す実地の手引き。二つをセットで使うことで、点検の中身と進め方の両方がそろいます。経営の立場では、自社のAIが信頼に足るかを社内外へ説明するときの共通のものさしになるでしょう。AISIという組織そのものについては、別ページのAISIをご覧ください。

Topicゼロから作ったわけではない

これらの評価観点は、まったくの新発明というわけではありません。日本には先に、AIに関わる事業者の共通指針を定めたAI事業者ガイドラインがあり、そこで掲げられた人間中心や公平性といった大切な考え方が土台になっています。新しい仕組みをいきなり持ち出すのではなく、すでにある合意を踏まえて積み上げる。既存の指針と地続きにすることで、企業が無理なく取り入れやすくなる。地味ですが、ルールを根づかせるうえで大事な工夫といえるのではないでしょうか。

AIセーフティに関する評価観点ガイドに関するよくある質問

評価観点ガイドを満たせば、AIは安全だと保証されますか?
いいえ。何を点検すべきかの視点を示すものであり、それ自体が安全のお墨付きを与えるわけではありません。観点に沿って実際に評価し、見つかった課題に対処してはじめて安全性が高まります。
評価観点ガイドは、一度作って終わりですか?
いいえ。2024年9月の初版から半年ほどで改訂されており、AIの進化に合わせて見直されています。安全性の基準は固定ではなく、更新され続ける前提のものです。

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