フレーム理論とは

フレーム理論とは、「レストランでの食事」のような“お決まりの場面”を、ひとまとまりの枠組み(フレーム)としてコンピュータに覚えさせる、知識表現の考え方のことです。AI研究の草分けマーヴィン・ミンスキーが1974年に提唱しました。名前のよく似た「フレーム問題」とは全くの別物なので、まずそこを押さえておきましょう。

英語表記:frame theory(frames)

「お決まりの場面」を、まるごと覚える

フレームは、いわば場面ごとのテンプレートです。たとえば「部屋」というフレームには、床・壁・天井があるといった標準的な情報(初期値)があらかじめ収められています。だから人間が「部屋」と言うだけで、AIはいちいち説明されなくても「たぶん床も壁もあるはず」と常識的に補える、という発想です。新しい情報が入れば、空欄を埋めたり書き換えたりして対応します。シャンクらが考えた、レストランで席に着き注文し支払うまでの流れを表す「スクリプト」も、このフレームの仲間にあたります。

紛らわしい「フレーム問題」との違い

ここが、いちばん気をつけたい点ではないでしょうか。フレーム理論とよく混同されるのがフレーム問題ですが、両者はまったく別のテーマを指します。フレーム理論(1974年・ミンスキー)が「知識をどんな構造で持たせるか」という表現の工夫なのに対し、フレーム問題(1969年・マッカーシーとヘイズ)は「ある行動をしたとき、何が変わり、何が変わらないかをどう効率よく扱うか」という別の難問。名前が似ているだけで、問題と解決策の関係ですらありません。混同にはくれぐれもご注意ください。

Topic提唱者は、あのHAL 9000の陰の立役者

フレーム理論を生んだマーヴィン・ミンスキー(1927〜2016)は、コンピュータ科学の権威ある賞であるチューリング賞を1969年に受けた「AIの父」の一人。じつは映画史に残るSF「2001年宇宙の旅」でも、監督キューブリックの助言役を務めていました。劇中に登場する反乱AI「HAL 9000」のリアルさの裏には、当時の本物のAI研究者の知見があったわけです。半世紀前の研究者が、いまも語り継がれるAI像づくりに関わっていたとは、なんとも味わい深い話ですね。

フレーム理論に関するよくある質問

「フレーム」という名前は何を意味していますか?
物事をとらえる“枠組み”を意味します。写真の額縁(フレーム)のように、ある場面を一つの枠で囲み、その中に標準的な要素を収めておくイメージです。
フレーム理論は、今のソフトウェアづくりに影響を与えましたか?
はい。お決まりの要素を一つの型にまとめて再利用するという発想は、現代のプログラミングで広く使われる「オブジェクト指向」の考え方に通じるとされています。

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