UNESCO AI倫理勧告とは
UNESCO AI倫理勧告とは、国連の専門機関であるUNESCO(国連教育科学文化機関)が2021年に採択した、AIの倫理に関する世界初のグローバル標準のことです。人権と人間の尊厳を守りながら、責任あるAIの開発と活用を進めることを目指す枠組みになっています。
何を定めているのか
勧告は、AIが守るべき価値や原則を幅広く示します。土台となる4つの価値(人権と尊厳、平和で公正な社会、多様性と包摂、環境の保全)を掲げ、その下に透明性・説明責任・プライバシー・人間による監督といった原則を並べる構成。抽象論で終わらせないために、各国が自国の備えを点検できる評価手法など、実際に使える道具もあわせて用意したのが持ち味です。
「法律」ではなく「勧告」
名前のとおり、これは法的な拘束力を持つ法律ではなく、各国が共有すべき指針を示した「勧告」(ソフトロー)です。罰則をともなうEU AI法とは性格が異なります。同じ国際的なAIルールでも、2019年のOECD AI原則がOECDの加盟国を中心とした取り決めだったのに対し、こちらは国連の幅広い加盟国が合意した点に広がりがあるといえるでしょう。
世界が足並みをそろえた最初の一歩
採択は2021年11月で、当時のUNESCO全加盟国にあたる194の国・地域が合意しました。これはChatGPTの一般公開(2022年11月)の約1年前で、生成AIのブームが来る前から国際社会がAI倫理を議論していたことがうかがえます。法的な強制力こそないものの、各国が自国のルールづくりを進めるうえでの共通の出発点になりました。
Topic「AI倫理」に環境への影響まで含まれている
「AI倫理」と聞くと、公平性やプライバシーを思い浮かべる人が多いかもしれません。けれどもこの勧告は、AIの環境への影響(電力やエネルギーの大量消費など)や、ジェンダーの平等までを倫理の対象に含めています。AIを「人や社会だけでなく地球環境にもやさしく」という、幅の広い視点でとらえているのが見どころです。
UNESCO AI倫理勧告に関するよくある質問
- 「勧告」とは法律のことですか?
- いいえ。法的な拘束力を持つ法律ではなく、各国が共有すべき指針を示した「勧告」(ソフトロー)です。罰則をともなうEU AI法とは性格が異なります。
- OECD AI原則とは何が違うのですか?
- 2019年のOECD AI原則がOECD加盟国を中心とした取り決めだったのに対し、こちらは国連の幅広い加盟国(採択時194の国・地域)が合意した点に広がりがあります。ともにAIの国際的な指針ですが、合意の輪の大きさが違います。
- 公平性やプライバシー以外も「AI倫理」の対象なのですか?
- はい。この勧告は、電力の大量消費などAIの環境への影響や、ジェンダーの平等までを倫理の対象に含めています。人や社会だけでなく地球環境にもやさしく、という幅広い視点でとらえているのが特徴です。