AIセーフティ・インスティテュートとは

AIセーフティ・インスティテュートとは、AIを安全に使えるようにするための評価手法や基準づくりを担う、日本の政府系の専門機関のことです。2024年2月14日に発足し、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のなかに事務局が置かれました。略してAISIと呼ばれます。

英語表記:AI Safety Institute(略称AISI/Japan AISI)

AIの安全性を測る「物差し」をつくる

AISIの役割は、「このAIは安全か」をどう確かめるかという評価のやり方や基準を整理することです。具体的には、安全性をチェックするためのツールや標準づくり、偽情報への対策技術、AIとサイバーセキュリティに関する調査などに取り組んでいます。違反に罰則を科す規制の役割ではなく、安全かどうかを判断する「共通の物差し」を用意する立場だと捉えると分かりやすいでしょう。運営はIPAを中心に、関係省庁や関係機関が連携して進めています。

英国・米国のAISIとは別の組織

取り違えやすいのが、英国や米国にも同じ名前の「AIセーフティ・インスティテュート」があり、日本版はそれらとは別の組織だという点です。各国がそれぞれ自国に評価機関を置き、互いに連携しながら活動しています。日本のAISIも「英国・米国等の同様の機関とも連携しつつ」業務を進めると公式に説明されており、名前は同じでも運営主体は国ごとに分かれているのです。

経営にとっての意味

企業がAISIに直接申請したり審査を受けたりする窓口ではありません。ただ、ここで整理される安全性の評価手法やチェックの考え方は、今後のガイドラインや取引先からの要求の土台になっていきます。自社でAIを導入・提供するときに「何をもって安全と見なすか」の参照点が育っていく場、と押さえておくとよいかもしれません。AIガバナンスの体制を整えるうえでの基礎情報として目を配る価値があります。

Topic各国のAISIは「国際ネットワーク」でつながっている

2024年11月、米サンフランシスコで「AIセーフティ・インスティテュートの国際ネットワーク」が発足しました。日本・米国・英国・カナダ・フランス・韓国・シンガポールなど10の国・地域が初期メンバーに名を連ね、米国が初代の議長を務めています。各国が自国版の評価機関を相次いで設け、それらを束ねて知見を持ち寄る。AIの安全性は一国だけでは守りきれないという考えが、この国境を越えた連携にあらわれています。

AIセーフティ・インスティテュートに関するよくある質問

企業はAISIの審査や認定を受ける必要がありますか?
いいえ。AISIは罰則を伴う規制機関ではなく、安全性を評価する手法や基準を整理する立場です。企業が直接申請する窓口ではありませんが、整理された考え方が今後のガイドラインや取引先の要求に反映されていきます。
AISIとAI戦略会議は何が違いますか?
AI戦略会議が国全体のAI政策の方向性を議論する司令塔の会議なのに対し、AISIは安全性の評価手法や基準を技術的に検討する実務機関です。役割の層が異なります。

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