AI成熟度モデルとは

AI成熟度モデルとは、組織が「AIをどれくらい使いこなせているか」を、いくつかの段階(レベル)に分けて評価する枠組みです。今どの段階にいて、次に進むには何が足りないのか。戦略・データ・人材・ガバナンス・事業価値といった複数の面から、自社のAI活用度を健康診断するための物差しだと考えると分かりやすいでしょう。

典型的な5つの段階

提供する調査会社やベンダーによって呼び名は変わりますが、5段階で測る形が広く使われています。代表例としてよく引用されるのは、次のような並びです。

  • 第1段階:関心はあるが、まだ着手していない
  • 第2段階:一部の業務で試験的に使い始めた(実験段階)
  • 第3段階:少なくとも1つの業務でAIが実際に稼働している
  • 第4段階:多くの業務で活用し、新しい事業のかたちが生まれている
  • 第5段階:AIが事業の中核になり、価値や収益を生み出している

多くの組織は、まだ第1〜第2段階にとどまっているとされます。最上位までたどり着く企業はごく一部にすぎません。だからこそ、自社が今どこにいるかを知ること自体に意味があるのです。

DX成熟度モデルとの違い

似た言葉に「DX成熟度モデル」があります。DX成熟度が業務・組織・顧客体験を含むデジタル化全般の進み具合を測るのに対し、AI成熟度モデルが見るのは、その中のAIに特化した部分です。データ基盤や人材といった共通の評価軸に加え、モデルの運用やAIガバナンスなど、AIならではの観点が加わる点が特徴です。

注意したいのは、モデルごとに段階の名前や数が違うこと。ある会社の「第3段階」と別の会社の「第3段階」は中身が異なります。社内で1つのモデルに決めてから測らないと、評価がかみ合わなくなってしまうでしょう。

経営での使い方と落とし穴

経営の現場では、現在地を経営会議の共通言語にしたり、投資や人材配分の優先順位づけ、毎年の定点観測に使われます。とはいえ、落とし穴も少なくありません。ツールを導入しただけでは成熟したことにならず、段階を飛ばすこともできません。「自社は第◯段階」と申告して満足するだけで行動に移さなければ、地図を眺めただけで終わってしまいます。

Topicそのルーツは、実はAIではなくソフトウェア開発にある

「段階で成熟度を測る」という発想の元祖は、1986年に米国防総省の依頼でカーネギーメロン大学の研究所が作った「能力成熟度モデル(CMM)」です。考案者のワッツ・ハンフリーが、ソフトウェア開発業者の実力を5段階で見分けるために編み出した物差しでした。これはChatGPTの登場(2022年11月30日)よりはるか前から続く考え方で、のちにDX、データ活用、そしてAIへと姿を変えて受け継がれてきました。AI成熟度モデルは、その長い系譜の最新版にあたります。

AI成熟度モデルに関するよくある質問

AI成熟度モデルとDX成熟度モデルは何が違いますか?
DX成熟度モデルは業務・組織・顧客体験を含むデジタル化全般の進み具合を測る上位の枠組みです。AI成熟度モデルはそのうちAIに特化した部分を見るもので、モデルの運用やAIガバナンスなどAI固有の評価軸が加わります。
成熟度が高いほど良いのですか?
必ずしもそうとは限りません。最上位(AIが事業の中核)まで必要かは業種や事業によって違い、これは満点を取る試験ではなく現在地を知るための地図です。基盤を整えずに段階を飛ばすこともできません。
段階の数や呼び方は決まっていますか?
決まっていません。多くは5段階ですが、調査会社やベンダーごとに段階の名前や数が異なり、別モデルのレベル番号を直接比べることはできません。社内で1つのモデルに統一してから測るのが基本です。

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