NIST GenAI Profileとは

NIST GenAI Profileとは、米国の標準化機関NIST(国立標準技術研究所)が2024年7月に公表した、AIのリスク管理の枠組み「AI RMF」を生成AI向けに具体化した手引きです。生成AIに特有の、あるいは生成AIで大きくなりやすいリスクを整理し、それらにどう備えるかをまとめています。

英語表記:Artificial Intelligence Risk Management Framework: Generative Artificial Intelligence Profile (NIST AI 600-1)

別名:生成AIプロファイル

本体「AI RMF」の生成AI版という位置づけ

これは単独の新しいルール集ではありません。土台になっているのは、NISTが2023年1月に公表したNIST AI RMFという、AIのリスクを管理するための任意の枠組みです。AI RMFは「統治・把握・測定・管理」(Govern・Map・Measure・Manage)の4つの機能で組み立てられています。GenAI Profileは、この4機能に沿って生成AIならではの対応策を当てはめた「使い方ガイド(プロファイル)」にあたる位置づけです。

生成AIならではのリスクを整理する

この手引きが注目するのは、生成AIだからこそ目立つリスクです。もっともらしい誤りを自信ありげに述べる「作話」、偽情報の大量生成、危険物に関する情報の入手しやすさ、個人情報や知的財産の扱い、有害なコンテンツなど、生成AIで増幅されやすい問題を12の領域に整理しています。それぞれに、組織が取りうる対応のアクションが結びつけられています。

注意したいのは、その性格です。NIST AI RMFもGenAI Profileも法的な義務ではなく、任意のガイダンスで、違反に罰則があるEU AI法のような規制とは性質が違います。米国発の文書で日本の制度ではありませんが、世界的に参照されるベストプラクティスとして使われており、企業のAIガバナンスの実務的なよりどころの一つです。

TopicNISTはあえて「ハルシネーション」と呼ばない

AIがもっともらしい誤りを生む現象は、ふつう「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれます。ところがこの文書は、その言葉を正式には使わず「作話(Confabulation)」という用語を選びました。脚注では「『幻覚』のような言い方はAIを人間になぞらえる表現であり、人間でないものに人間らしさを当てはめること自体が生成AIのリスクになりうる」と説明しています。リスクを論じる文書が、使う言葉そのものにまで気を配っているのは意外なところです。

NIST GenAI Profileに関するよくある質問

AI RMFとNIST GenAI Profileは何が違いますか?
AI RMFはあらゆるAIに使える汎用のリスク管理の枠組みです。NIST GenAI Profileはそれを生成AIという特定用途に具体化した手引き(プロファイル)で、本体を置き換えるものではなく、セットで使う補完文書です。
従う法的義務はありますか?
ありません。NIST AI RMFもGenAI Profileも任意のガイダンスで、違反に罰則がある規制ではありません。米国発の文書ですが、世界的に参照されるベストプラクティスとして使われています。
いつ作られ、今も使われていますか?
2024年7月に公表されました。作成のきっかけとなった大統領令は2025年1月に撤回されましたが、文書自体は技術的な手引きとして残り、引き続き参照されています。

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