マシンカスタマーとは

マシンカスタマーとは、人間に代わって商品やサービスを買うかどうかを判断し、取引まで自ら行うAI(人工知能)のことです。提唱した調査会社ガートナーは、これを「対価を払って財やサービスを得る、人間ではない経済主体」と定義しています。私たちが指示を出して使うAIアシスタントとは違い、AI自身が「顧客」として振る舞う点に新しさがあります。

英語表記:Machine Customer(別称:custobot/カスタボット)

特別な未来ではなく、もう芽が出ている

イメージしにくければ、インクが切れる前に自分でカートリッジを発注するプリンタを思い浮かべてください。あれも初期のマシンカスタマーの一例です。ガートナーは2025年までに、顧客のように振る舞いうる「ネットにつながった製品」が世界で約150億台にのぼると見込んでいました。冷蔵庫が食材を補充し、工場の設備が部品を自動で買い足し、AIが価格を比べて最も得な店から仕入れる。こうした「機械が買い手になる」流れが、これから多くの業種に広がると予測されています。

エージェントエコノミーの中の「買い手」役

よく似た言葉に「エージェントエコノミー」があります。エージェントエコノミーはAI同士が自律的に取引する経済の全体像、マシンカスタマーはその中で「買う側」を担う具体的な存在です。経済そのものと、そこに登場する一人の役者、という関係で捉えると取り違えずに済むでしょう。買い手がAIに変わると、人の感情に訴える広告は効きにくくなります。代わりに重みを増すのが、価格・在庫・仕様といった「AIが比べやすいデータ」をどう整えるか。自社の商品はAIに選ばれる準備ができているか、という問いが経営の論点になっていきます。

Topicなぜ「カスタボット」という愛称が付いたのか

ガートナーはこの少し堅い概念に、custobot(カスタボット)という愛称を付けています。customer(顧客)とrobot(ロボット)を掛け合わせた造語です。「人間ではない経済主体」と説明されるより、ぐっと親しみやすい呼び名にすることで、経営層の間に概念を広めようという狙いがうかがえます。社内で話題にするときも、この愛称のほうが会話に乗せやすいかもしれません。

マシンカスタマーに関するよくある質問

マシンカスタマーと、ふだん使うAIアシスタントは何が違いますか?
AIアシスタントは人の指示を受けて動く道具です。マシンカスタマーは、買うかどうかの判断や取引そのものを自ら行う「顧客」として振る舞う点が異なります。
マシンカスタマーが買い手になると、企業は何に備えるべきですか?
人向けのキャッチコピーや感情に訴える訴求は効きにくくなります。価格や在庫、仕様をAIが読み取りやすい形で公開し、自動でやり取りできる仕組みを整えることが備えになります。
マシンカスタマーは今すぐ普及しているのですか?
現時点では将来予測の色が濃い概念です。プリンタの自動発注のように芽は出ていますが、ガートナーは本格的な拡大を2030年ごろに見込んでおり、今は準備の段階といえます。

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