ジャグドフロンティアとは

ジャグドフロンティアとは、AIが得意な仕事と苦手な仕事が、ギザギザの境界線のように入り組んでいて、外からは見分けにくいことを指す言葉です。「ジャグド」は英語で「ギザギザの」という意味。AIの実力はなだらかな線では区切れず、隣り合った似たような作業でも得意・不得意が急に切り替わる、という現実を言い表しています。

英語表記:jagged frontier(jagged technological frontier)

なぜ境界線が「ギザギザ」なのか

人間の感覚では「これができるなら、あれもできるはず」と考えがちです。ところがAIは、人から見て同じくらいの難しさに見える作業でも、一方は鮮やかにこなし、もう一方では平気で間違えることがあります。だから得意・不得意の境目は、なめらかな線ではなくギザギザに入り組みます。やっかいなのは、その境界が一見しただけでは分からない点。「AIは賢い/賢くない」と一括りにできないことを示す言葉だといえるでしょう。

研究が示した数字

この概念は、ハーバード・ビジネス・スクールとボストン・コンサルティング・グループが2023年に発表した共同研究で広まりました。758人のコンサルタントを対象にした実験では、AIが得意な領域、つまりフロンティアの内側のタスクで大きな効果が出ています。AIを使った人は、使わなかった人に比べタスクを約12%多くこなし、約25%速く、品質も4割ほど高かったと報告されました。なお、この研究は人間とAIの協働を「ケンタウロス」と「サイボーグ」の二つの型に分けたことでも知られています。

経営から見た意味

経営にとっての教訓は、「AIをどこに使うか」を仕事ごとに見極める必要があるということです。便利だからと何にでも当てはめれば成果が上がる、という単純な話ではありません。自社の業務を棚卸しし、AIが力を発揮する内側の作業と、人が責任を持つべき外側の作業を切り分ける。その地図づくりこそが、AI活用の成否を分ける第一歩でしょう。

Topic「外側」で使うと、かえって成績が落ちた

同じ研究には、思わずうなる結果も含まれていました。AIが苦手な領域、つまりフロンティアの「外側」のタスクでは、AIを使ったコンサルタントの方が、使わなかった人より正解にたどり着く割合が約19ポイント低かったのです。AIが自信たっぷりに示した誤りを、人がうっかり信じてしまったためと見られています。「便利な道具は、どこでも役立つわけではない」。むしろ使いどころを誤ると足を引っ張る、という戒めを示した数字でしょう。

ジャグドフロンティアに関するよくある質問

ジャグドフロンティアの境界線は、ずっと同じ場所にあるのですか?
いいえ。AIの性能が上がると、これまで苦手だった作業が得意側に移るなど、境界は動いていきます。だからこそ一度きりの見極めで終わらせず、AIの進化に合わせて「どこまで任せられるか」を定期的に問い直す姿勢が大切です。
ジャグドフロンティアは、ケンタウロスやサイボーグとどう関係しますか?
いずれも同じ2023年のハーバードとBCGの研究から広まった言葉です。ジャグドフロンティアがAIの得意・不得意の地形を表すのに対し、ケンタウロス(分業)とサイボーグ(融合)は、その地形の中で人間とAIがどう組むかという働き方を表します。

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